甲子園で勝つためには「野球留学生」は不可欠か? 全49校を調査 <第101回 夏の甲子園> | ニコニコニュース



(出典 zutto-sports.com)



 101回目の夏がやってきた。「全国高校野球選手権大会」が6日開幕し、14日間に渡って、「令和初の優勝」をかけて49代表がしのぎを削る。

 岩手県大会決勝で投げずに敗退し物議を醸した、佐々木朗希投手(大船渡)の登板間隔問題、猛暑による健康管理などさまざまな問題を受けてか、準々決勝、準決勝にそれぞれ1日づつの休養日を設けた16日間の日程で行われる。

 有力校が次々と地方大会で姿を消すなか、今大会の注目は「高校BIG4」のなかで唯一甲子園にすすんだ星稜(石川)の奥川恭伸投手。最速158kmという豪腕に注目が集まる。

 また、昨年、吉田輝星(現・北海道日本ハム)率いる金足農に準々決勝で2ランスクイズを決められ、悲劇の主人公となった近江(滋賀)の左腕・林優樹投手、霞ヶ浦(茨城)の148km右腕・鈴木寛人投手など好投手が目白押しだ。

 その近江は大会6日目の1回戦でいきなり優勝候補のひとつと目される東海大相模と対戦。同日には優勝経験のある作新学院(栃木)が筑陽学園(福岡)と、同じく優勝経験校・花咲徳栄(埼玉)と公立の有力校・明石商(兵庫)がぶつかるなど、早くも話題が沸騰している。

 そして今大会の初出場校はわずか3校。誉(愛知)、飯山(長野)、富島(宮崎)。誉は林山侑樹主将が開幕戦と選手宣誓を引き当てるという”強運”ぶりで、初戦で当たる優勝候補のひとつである八戸学院光星(青森)へジャイアントキリングを狙う。

◆1人のみが地元、あとは全員「留学生」のチーム

 今回出場する49校の内訳を見ると、私立高校が35校。公立は、56校が出場した前年大会の8校から14校に躍進。昨年の金足農のごとく旋風を巻き起こす可能性も大だ。

 しかし、毎年議論となるのは、私立の甲子園常連校などが、県外から選手をスカウトなどして集める「野球留学生問題」だ。親の転勤、通学の利便性など近隣県で の「越境」もあるが、参加チーム(近年は選手減少などにより合同チームを組む学校も多くなっており、ここでは”チーム”表記する)数の多い、関西から東北や山陰に越境する選手が多いことは知られており(ちなみに昨年圧倒的戦力で優勝した大阪桐蔭は県外生が13人、準決勝の金足農は0人だった)高校野球ファンならずとも議論の的となる。

 2012年から日刊SPA!が調査、掲載した記事には様々な意見を頂いている。毎年データを取っていると「留学生」の割合は毎年、ほぼ一定の割合(30~38%)を示している。以下のデータは各都道府県の代表校のベンチ入り18人の選手のうち、県外出身者の占める割合を表したものである。

 予選参加チームが多い愛知(188校)、神奈川181校)、大阪(174)や最少の鳥取(23校)では明らかな”格差”が生じていることや、こうした「留学生」が各地域のレベルを押し上げていることも鑑みて、以下のデータをみていただきたい。

2019県外出身者人数(全49校 ベンチ入り18人のうち)
※学校名[出場回数](参加地域/公私立/予選参加チーム数):県外者人数[出身中学県](部員数)★印は夏の甲子園優勝経験校

[なし]10校(昨年11校 ※56代表制)
・旭川大[2年連続9回目](北北海道・私立・85チーム0人(部員69人)
・秋田中央[初出場](秋田・県立・44)0人(60人)
・作新学院★[9年連続15回目](栃木・私立・59)0人(96人)
・高岡商[2年連続19回目](富山・県立・48)0人(73人)
・広島商★[15年ぶり23回目](広島・県立・90)0人(135人)
・米子東[28年ぶり14回目](鳥取・県立・23)0人(35人)
・高松商★[23年ぶり20回目](香川・県立・38)0人(71人)
・宇和島東[9年ぶり9回目](愛媛・県立・58)0人(39人)
・佐賀北★[5年ぶり5回目](佐賀・県立・39)0人(55人)
・富島[初出場](宮崎・県立・49)0人(48人)

[1~5人]17校(昨年15校)
・花巻東[2年連続10回目](岩手・私立・66チーム1人=神奈川1(部員98人)
・前橋育英★[4年連続5回目](群馬・私立・62)1人=埼玉1(80人)
・飯山[初出場](長野・県立・84)1人=新潟1(67人)
・明石商[2年連続2回目](兵庫・市立・161)1人=大阪1(111人)
・静岡★[4年ぶり25回目](静岡・県立・111)1人=東京1(41人)
・宇部鴻城[7年ぶり2回目](山口・私立・58)1人=福岡1(60人)
・海星[5年ぶり18回目](長崎・私立・55)1人=広島1(71人)
沖縄尚学(沖縄・私立・64)1人=台湾1(72人)

習志野★[8年ぶり9回目](千葉・市立・1632人=東京2
・星稜[2年連続20回目](石川・私立・44)2人=神奈川1 東京1 (77人)
・鳴門[2年連続13回目](徳島・県立・30)2人=大阪2 兵庫1 奈良1(47人)
・筑陽学園[16年ぶり2回目](福岡・私立・133)2人=大分1 沖縄1(70人)

日本文理[2年ぶり10回目](新潟・私立・77)3人=長野2 富山1(104人)
・熊本工[6年ぶり21回目](熊本・県立・58)3人=兵庫1 福岡1 大分1(110人)

・北照[2年連続5回目](北北海道・私立・105チーム5人=大阪3 東京2(75人)
・国学院久我山[28年ぶり3回目](西東京・私立・130)5人=神奈川3 千葉2(66人)
・誉[初出場](愛知・私立・188)5人=岐阜3 大阪2(62人)

[9人以下]5校(昨年5校)
・仙台育英[3年連続28回目](宮城・私立・67チーム6人=福島3 山形1 東京1 大阪1(部員104人)
・関東一[3年ぶり8回目](東東京・私立・129)6人=茨城2 千葉2 栃木1 神奈川1(82人)
智弁和歌山★[3年連続24回目](和歌山・私立・39)6人=京都2 奈良2 大阪1 三重1(36人)

・近江[2年連続14回目](滋賀・私立・49)7人=京都3 奈良2 三重1 大阪1 (106人)

東海大相模★[4年ぶり11回目](神奈川・私立・1819人=千葉5 秋田1 栃木1 埼玉1 東京1(90人)

[10人以上]17校(昨年20校)
・聖光学院[13年連続16回目](福島・私立・75チーム10人=東京7 大阪2 北海道1(部員119人)
霞ヶ浦[4年ぶり2回目](茨城・私立・93)10人=東京6 千葉3 兵庫1(89人)
・山梨学院[4年連続9回目](山梨・私立・35)10人=東京5 福島2 神奈川1 愛知1 大阪1(94人)
・津田学園[2年ぶり2回目](三重・私立・62)10人=兵庫5 愛知3 福井2(80人)
・履正社[3年ぶり4回目](大阪・私立・174)10人=兵庫10(83人)

・中京学院大中京[3年ぶり7回目](岐阜・私立・66)11人=兵庫4 大阪2 滋賀2 東京1 静岡1 奈良1(部員91人)
・敦賀気比[2年連続9回目](福井・私立・30)11人=大阪6 京都3 福井1 兵庫1(77人)

・智弁学園[3年ぶり19回目](奈良・私立・38)12人=大阪4 京都2 兵庫2 群馬1 三重1 滋賀1 広島1(61人)
・岡山学芸館[4年ぶり2回目](岡山・私立・59)12人=沖縄5 兵庫4 大阪3(89人)
・明徳義塾★[2年ぶり20回目](高知・私立・26)12人=大阪5 京都2 神奈川1 岡山1 広島1 愛媛1 福岡1(103人)

立命館宇治[37年ぶり3回目](京都・私立・75)13人=大阪6 奈良3 兵庫2 静岡1 和歌山1(73人)

・鶴岡東[3年ぶり6回目](山形・私立・48)14人=大阪5 長野3 埼玉2 栃木1 千葉1 兵庫1 滋賀1(102人)

・八戸学院光星[2年連続10回目](青森・私立・57)16人=大阪5 奈良4 宮城1 東京1 静岡1 長野1 京都1 徳島1 沖縄1(100人)
・花咲徳栄★[5年連続7回目](埼玉・私立・154)16人=大阪2 北海道1 岩手1 秋田1 栃木1 新潟1 兵庫1 千葉1 東京1 神奈川1 (156人)
・藤蔭[2年連続3回目](大分・私立・44)16人=福岡16(80人)
・神村学園[2年ぶり5回目](鹿児島・私立・70)16人=兵庫4 沖縄3 福岡2 佐賀2 大阪1 岡山1 熊本1 長崎1 宮崎1(61人)

・石見智翠館[4年ぶり10回目](島根・私立・39)17人=大阪12 兵庫2 広島2 神奈川1(121人)

都道府県別、県外出身者(=総数279人 49代表ベンチ入り選手18人の31% ※前年=35%)
・大阪=65人
・兵庫=38人
・東京=30人
・福岡=20人
・千葉=14人
・奈良、京都=13人
・沖縄=10人
・長野=6人
・福島、広島=5人
※(4人以下は省略)参考:台湾=1人

※ちなみに県外出身者を排出していない代表校の県は以下のとおり
青森、山梨、石川、鳥取、島根、山口、香川、高知、鹿児島
大阪府中学出身球児は今大会65人で、49代表ベンチ入り18人の約7.4%(前年約6.6%)を占める

参考「週刊朝日増刊 甲子園2019」
<取材・文/日刊SPA!高校野球取材班>



(出典 news.nicovideo.jp)